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第3話 酷い仕打ち

Penulis: 甘梨鈴
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-02 18:13:46

 帝国ではオメガ蔑視が強いと聞くけど、このランダリエ王国に限っては、オメガは『聖樹』と呼ばれる、尊い存在のはずだ。

 ランダリエの神殿で身を清めて育ったオメガは、アルファと番うと「必ずアルファを生む」からだ。

 そのために、王国では生まれた子供がオメガだと分かると、身分を問わず神殿に入れられる。

 エマも、貧しい村で生まれたが、巡礼で訪れた神官に見いだされて『聖樹』となり、いずれ高貴なアルファに嫁ぐ身として、厳しい教育も受けてきた。

 第二王子との婚約は王命だったが、立派な伴侶になろうと決意したのに……。

 レオナールは、エマに名を呼ぶことも許さず、婚約式の後には『貴様には必要ない』と用意された婚約指輪も取り上げた。

「んぁッ……お、お願い、しますッ……どうか、薬を……ぅぅっ!」

「ふんっ。卑しい平民にやる薬などない」

 苦しみから逃れようと縋っても、レオナールは冷たく言い放つ。

「ぁぁッ……ど、どうして……ァッ」

 襲い来る熱に悶えながら、エマはレオナールに問いかけた。

「なぜ……このように酷い仕打ちを、なさるのですか?」

 離れに軟禁され、薬を奪われ、発情期に入ったいま、激しい苦痛に苛まされる。

 発情した体は、焼かれたように火照り、腰の疼きはやまず、いくらイってもまた昂ぶりが頭をもたげる。

 もうまる一日、水しか口にできず、身悶え、汗と精液でシーツをびっしょりと濡らした。

 疼く熱に苦しむエマを、レオナールは冷ややかに見下ろし、杯をギリッと握りしめる。

「なぜ、だと……!?」

 レオナールが鋭い目でエマを睨み、怒声を上げた。

「王妃も、兄上の正妃も、公爵家出身の令嬢だ! それなのに、オレに与えられたのは平民の男だぞ!?」

 レオナールは杯を床に投げ捨て、激昂する。

「貴様のせいで、オレはとんだ笑い者だ!」

「ッ……」

 罵声を浴びせられ、エマは身を縮める。

 けれど、それはエマが望んだことではない。

「こ、この婚約はッ、……陛下が、お決めになったことです……」

「ああ、そうだ!」

 王命であることは、レオナールも理解しているはずだ。

 それでも感情が抑えられないのか、腹立たしげに床を蹴った。

「くそッ……貴様が婚約者などと、考えるだけで虫唾が走るッ!」

 吐き捨てるレオナールの隣で、静かに控えていた従者は新たな金の杯に酒を注ぎ、レオナールに差し出す。

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